仁義と信念と

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厳つい顔立ちの屈強な男達が各々銃や刀などの得物を全て恭二に向ける。 1対多数の余裕は影すら見せず、全力の殺気をぶつけている。 そんな油断をできる相手ではないと知っているからだ。 集団が現れたと同時に、恭二は部屋に飾られていた刀を素早く掴み、手元に引き寄せ居合いの体勢に入る。 そして響く怒声。 「恭二が刀を持ったぞ!」 「振らせる前に殺れ!!」 轟々と唸る怒声の中、奇妙に良く通る声が響いた。 「離れろ」 恭二の声にゾワリ、と集団の人間全員に悪寒が走る。 一斉に後方に下がり距離をとり、集団に一瞬の安堵の時間が生まれた瞬間 キンッ 一つの音だけでその時間は終わった。 「もっと離れたほうが良かったな」 。
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