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はじめ、それを見た父親は、あろうことかこんなことを言った。
「ん、おまえ彼女でもできたのか?」
「は?」
「彼女と見たい映画、そんなにあるのかー」
映画館に通うための貯金だと思ったらしい。
くそ真面目だった俺は、丁寧にこの貯金がどういった目的のためにあるのかを懇切丁寧に父親に説明したのだった。
父親は、自分が言い出しっぺなことも忘れて神妙な顔をして聞いていたが、最後にはがははと笑って言った。
「おまえが映画監督になったらいいなあ。ちゃんとその夢叶えろよ」
うん! と、とびきり無邪気な顔で頷いた俺が、そこにいた。
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