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「あのカメラ高かったんだぞーとか言って」
でもさ。
「不思議と誰も怒ってなかった。みんな笑ってたな」
それまで撮ったやつが、もったいなかったけど。」
その頃、既に高校3年の秋。
受験に向けて本腰を入れ始めた時期で、アルバイトは当然禁止。
貯金だってカメラ買うのに全て使っちゃって、新しくもう一台買うなんてできなかった。
「ま、笑ってはいたけどさ。諦められなかった」
大学行って、金貯めて、もう一度撮るぞー。
みんなで、そんなこと言い合った。
「結局、できなかったけど・・・」
大学に入って、何が一番困ったかって、時間がなかった。
近所に映画の学校なんかなかったから、普通の大学に通った。
地元に残ったやつもいたし、大学じゃなくて就職したやつもいた。
俺は地元を離れて、この大学に来た。
時間はないわ、連絡は取れないわで、折角地元に帰っても時間が合わなかったりで、俺たちは誰ともなく疎遠になった。
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