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僕は何となくテレビのリモコンを手にとり、当てもなくチャンネルを変え続けた
こんな時間帯に面白い番組がやってるわけがない
そんなことは分かっていたが、予想以上にどれも退屈だった
いつの間にか、目線は意味のないテレビに、頭の中は自問自答にしか意識がなかった
もし、顔を洗って過去の自分を洗い流すことができれば、どんなに楽だろうか?
突然、この疑問が僕の頭をよぎった
過去の自分を簡単に洗い流す
そんなことができたら、今すぐにでも洗面所に向かうだろう
僕の意味のない過去
人々はよく口をそろえてこう言う
「どんな辛い過去があっても、その過去がなければ今のあなたはいない」と
僕は前々からこの言葉に不信感を感じていた
僕の過去は空白だ、例えて言うなら、真っ白い世界だと言ってもいい
そんな過去が今の僕を作った
そんなことを他人に言われても共感できないし、したくなかった
だって、空白=0なんだから、今の僕=0なんだ
こんなことは自分が一番よく知っているんだ
本当はそう考えた方が気分が楽だったからなのかもしれない
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