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食事をとっているあいだ、これからの事や周りの人達の話をした。
「そう言えば、父さん。前にお願いしていた学校の件どうなりました?」
「ん…あぁ、その事なら心配いらん。父さんの知り合いが運営している、私立の学校なんだが、お前の体調が安定したら入試試験をしてもらえるよう頼んである」
「本当ですか!?」
「あぁ本当だ」
「父さん、ありがとうございます。あっ、そういえばお婆様は今日僕が退院することご存知なんですか?」
「えぇ、知ってらしてよ。ですから朝から大張り切りで何やら嬉しそうにはしゃいでいらしたわ」
「そうだったな」
「後…お手伝いさんの室井さんとか岳部さんに…佐渡さんは?」
「みなさん元気よ」
「それから…、秀明…は?」
一瞬、両親が口をつぐんだ。
「秀明は…今、尚隆お兄様の所でお世話になって居るのよ」
「どうして?…どうして尚隆叔父さんの所に行ったんですか?」
「…そこからの方が学校に近いんだよ…」
「でも、なんでわざわさそんな遠くに…」
「さぁ、私達にもよく分からないのよ。何でもあちらの学校の方がやりたい学科があるらしくて…それでなのよ」
「そうですか…それじゃぁ…しかた…無いですよね…」
少し空気が沈んで沈黙がながれた。
「そうだ、お婆様やみなさんにお土産を買っていきたいんですが見て来てもいいですか?」
「ああ、かまわないよ。後で私達も行くから」
「はい、ありがとうございます。じゃぁ先に行っています」
そういって、僕は販売用のスイーツのショーケースを眺めていた。後から来た、父と母に相談し、いくつかの菓子を手土産に再び帰路についた。
満腹感と少しの疲れからか僕は、残りの帰り道車の中で浅くではあったが眠りについていた。そして気が付いた時には車は既に家門をくぐって玄関近くまで来ていた。
「秀、起きない。着きましたよ」
「はい」
半分寝ぼけ眼で久しぶり帰って来た我家を眺めた。
「お帰りなさいませ。旦那様、奥様。中で大奥様がお待ちかねでございます。後、秀明坊っちゃまが春休みとかで、こちらにお戻りになられております」
「あら、そうなの?ありがとう岳部さん」
「岳部、車を頼む」
「かしこまりましてございます。旦那様」
「お久しぶりです岳部さん。お元気そうでなにより」
「!!?秀坊っちゃま!…よくお帰りになられました。大きく成られて…岳部は今日ほど嬉しい日は久方ぶりで…。本当にごりっぱになられましたなぁ」
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