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僕には秀明を引き止めることができなかった。秀明の言い分が正しいしと痛感させられてしまったからだ。
頭がぼーっとしたまま居間に向かった。
居間では、父と母がのんびりとお茶を飲んでいる。祖母は何やら準備をしていた。僕は空いている席にスッと腰を下ろした。
「ふ~」
「どうしたんだ秀。ため息なんてついて」
「いえ…なんでも…」
「ほら、いいから言ってみなさい」
「いえ、本当に…何でも無いです」
「そうか…?」
「何をそう沈んでいるんだい。ほら、貴方達が買ってきてくれた物だけど、ケーキ用意したから食べて元気だしなさい。ほぉら、ささ」
「はい、頂きます」
「そう言えば秀明はどうしたんだい?さっき声はしていたけれど」
「…お婆様、秀明は部屋に戻ってしまったので、僕が後で届けておきます」
「あらそうなの?残念ね。せっかく家族が揃ったというのにあの子は…」
「いえ…秀明は悪くありません。どちらかと言えば、僕がふがいないから…秀明を怒らせてしまって…謝りにも行きたいんです。だから僕が持っていきます」
その後少しして僕は秀明の部屋に言った。
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