[衝突]

4/7
前へ
/120ページ
次へ
《トントンッ》 「ど~ぞ」 「秀明…。入るよ」 「なんだ秀かよ…なに」 「ケーキ…買ってきたんだ。甘い物好きだったろう。だから秀明の分も…」 「いくつの時の話だよ…あっそ、それだけ?それならさっさとそれ持って出てってくんない。もう俺甘いもん嫌いだから」 「えっ…」 「だから、甘いものは嫌いなんだよ。俺が甘いもの好きなんて。何年前の話してんだよ…10年くらい前の話をすんな。そんだけたちゃ味覚も変わるっつーの」 「あぁ、ごめん。嫌いになってたんだ…あっでも、お茶くらい飲めるだろ?せっかく家族全員揃ったのに、ってみんな心配…」 その時秀明が何かを呟いたが、僕はうまく聞き取れなかった。 「えっ?…なに秀明?何かいっ」 「だから、うっせーつったんだよ。てめと茶なんか飲めねぇつったろ。10年近く帰って来なかったくせに…冗談じゃねぇよ、いいご身分だよな本当に。帰ってきたとたん、いきなり説教かよ。っざけんな!!今更兄貴面なんかすんじゃねーよ!!!冗談じゃねぇ、居間まで俺がどんなきもちで…」 秀明の声が曇った。
/120ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加