30人が本棚に入れています
本棚に追加
「チャリこの辺で止めちゃうか。」
誰に言ってるのか分からぬまま俺は晶の隣に自転車を止めた。
「てか学校行くのに何でこんなとこ止める?」
そこは学校から歩いて15分そこそこかかる場所。
「時間的にも教師の足的にもここら辺は見つかりずらいとこだからだよ。」
「誰から聞いたんだ?んなこと?」
「先輩と女の子~♪から。」
「あっそ。」
正直他のクラスの体育なんて興味なかった俺はさっきから溜め息ばかり零していた。
「てか大輝。」
「ん。何?」
「やっぱ部活はバスケ部なの?」
「まぁね。晶は?」
「聞かなくても分かるだろ。」
「まぁ~ね。」
晶の部活…それは帰宅部と言うぶっちゃけ部活とは呼べない部活だった。
そんな下らない会話をしている内に目の前には見慣れた校庭が見えてきた。
「んで、お目当ての子は?」
「笹波 恋花と葉月 沙織。それと倉川 美鈴の3人。」
「誰だよそれ?」
と言いながらも俺は何故かその名前に聞き覚えがあった。
「南中の陸上部‥‥って言やぁ~何となく分かんじゃね?」
なんちゅう?
なんちゅう…って南中学校のことだよな?
俺らがいた北中のライバル校…って言われてた?
「お~い大丈夫か?ってかもう着くぞ。」
噂で聞いたことがある
南中に100mと高跳びの記録保持者がいることを…
何度か晶の友達の女子が
「マジ南中ありえないしぃー!」
とか言ってたな。
聞いた話しじゃ顔もスタイルも良く、あげくに頭もいいらしい…んだよな
それにプラスしてこれまた可愛いと評判のマネージャー
そんな奴らが今体育やってる…なんて
何とも…何とも言えぬ状況だ。
「ホラあそこ。見てみ。」
晶は誰からもバレない位置に座り俺を呼んだ。
「はいはい‥‥」
正直どーでも良かった……はずなのに
俺はこの瞬間に…
今まで感じたことのない気持ちを覚えた。
「あれが‥‥笹波 恋花‥‥‥」
最初のコメントを投稿しよう!