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俺は小さい頃の事をあまり覚えていない。 ただ覚えているのは、母親の泣いている顔、父親の怒り叫ぶ声。 気が付けば捨てられ、気が付けば施設の中にいた。 もう、笑う事さえ忘れた。 必要のある事しかしなかった。 そんな俺の前に1人の子が来た。 『そんな端で何してるの?暇じゃない?』 いつも端で本を読み、唯一好きだった絵を描いていた。 その時はもう小学5年で、ある程度は言えるし、書けた。 彼女は、俺の絵を見るなり言った。 『うそ…これ、全部君…優が描いたの?!すっごい!!』 久々に名前を呼ばれ、褒められ、何だか泣きそうになった。
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