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文久三年 三月
雲一つない快晴。
京の町は、いつものように多くの人で賑わっていた。
その中を歩く、一人の少女。
名は、早川明希という。
腰に刀を差しながら悠々と歩くその姿は立派な武士にも見えるが、性別は女。
明希は、行きつけの甘味処を目指す。
「こんにちは!」
「あ、明希ちゃん!いらっしゃい!」
迎えてくれたのはこのお店の看板娘のおハナ。母と2人で経営しているらしい。
明希は毎日ここへ通うのが日課になっていた。
「ハナちゃん、みたらし団子!」
「はーい、少々お待ちを。」
そして大好物であるみたらし団子を注文するのもまた日課となっていた。
笑顔を見せるとおハナは慌ただしく裏へと消えていった。
明希もゆっくりと椅子に座る。
ここのみたらし団子、すごい美味しんだよね。
明希が心中で呟く。
「はい、お待たせ。」
やがておハナがみたらし団子を運んできた。
「ん~っ美味しい!」
さっそくかぶりついて、明希は嬉々とした声を上げた。
そんな明希の姿におハナも隣に座ってクスリと笑い声を漏らした。
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