彼女の視線

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久しぶりに彼女からメールがきた。 《今度の土曜、暇?》 〔暇だよ。どうした?〕 《じゃあデートして?》 私を遊びに誘う時のいつものセリフ。 断る理由は無い。二つ返事でOKした。 土曜の夜、2人で飲みに行った。 久しぶりに逢ったせいか、彼女は饒舌だった。 コロコロと表情を変え、『今日はこんな事があった』とか『この前はこうだったんだよ』とか、逢えなかった時間を埋めたがるように話してくれた。 きっと私の相槌は《うん》だとか《そっかぁ》とか簡単なものだったと思う。 それでも彼女の笑顔は消える事が無かった。 話し足りず、2件目。 場所をバーに移し、隣り合わせに座って話していた。 ふと彼女の言葉が途切れ、代わりに視線を感じる。 彼女は私を見つめていた。 『ん?どうした?』 彼女は熱い視線と共に、少し微笑んでこう答えた。 『貴女のコト、見つめてるだけ』
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