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河に架かる橋の上から土手の上を通る道に目をやる。オレンジ色の街灯と白いヘッドライトが連なるその道は、何処かノスタルジックで懐かしさを覚える。
哀愁に浸りながら河に目をやる。
夕闇の落ちた暗い河にハラハラと雪が舞う。
明日辺り白く氷が張るのだろうか。
冬の足音から耳を遠ざけていた自分が窓に写っていた。
今日は帰ったらスコップを出そう。
今週中にはきっと雪掻きをしなければいけなくなるはずだ。
橋を越えれば最寄のバス停。そろそろ窓に写る物語りが終わる。
停車ボタンを押し、バスが停まるのを待つ。
財布から小銭を取り出し、運賃箱に入れる。
「ありがとうございました。」
バスから降り、足元に目をやる。
少し凍った歩道がキラキラと街灯を反射している。
買ったばかりの白いブーツ。細いヒールは不慣れだ。
それよりも、晩御飯は何を作ろうか。彼に電話をしてみよう。
「今バスから降りたの。ねぇ、今日何食べたい?」
転ばないようにゆっくり帰ろう。雪の舞う中、星を見ながら夕飯の献立を決めながら。
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