第一章 はじまりのとき

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振りかえると、想像通りの人物が 手を振りながら歩いてきた。 「尚香!」 「もー、大喬探したんだから!」 そう言いながら笑う尚香の姿は外から 照らされている光にあたっていて キラキラ輝いているように見える。 「ごめんなさい。いろいろあって…。」 「全然大丈夫よ。…さあ、行きましょ!」 そう言って彼女はわたしの手をとって歩き出した。 歩くたびにきしむ城内の廊下を わたしたちは談笑しながら歩く。 笑い話が一段落した時、尚香は落ち着いた ように改めて話しはじめた。 「ねえ、もうすこしなのね。」 「?」 わたしは意味がわからなくて 首をかしげ立ちどまった。 「兄さまとの結婚!」 彼女は目印の短い髪をくしゃりと かきながら振り向いた。
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