166人が本棚に入れています
本棚に追加
「…………………」
生き残った連中は、口も開かずにそそくさと正門から帰っていった。
「………一日目終了……か………」
全身の力が抜ける感じがした。これがあと二日続くんだな………。
――――と、放心状態で突っ立ってる俺に近付いてくる影があった。
「ロンくん。今日私の家に泊まりに来ない?」
愛里だった。俺とは違って、まだ目に光が籠っている気がした。
「…………いいのか?」
気が進まない。つーか愛里は一人暮らしだったはずだ。俺は一応、何するかわからん狼だぞ?
「うん。一人だと寂しいし」
………もう勝手にしろ。
「………親がなんて言うかわからないけど。いいよ」
「そっか。じゃあ帰ろ」
「あぁ………」
俺と愛里は赤い水溜まりを避けながら、正門まで歩いた。
軍人が【当たった】人を焼却炉に放り込んでいくのが見えた。
最初のコメントを投稿しよう!