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家に帰ると、まずワイシャツを脱いだ。
血が付いてるからな。誰も家にいなくてよかったよ。
「ふー…夢でもねーし愛里には泊まりに来いとか言われるし…俺は○ョンか?」
…虚しくなってきたので、独り言はやめた。
ガチャ
「ただいまー」
母親が帰って来た。
とりあえず、お泊まり交渉だ。
「あのさー。今日福留の家に泊まりに行っていいか?」
リビングのドアを開けて、まず一言。
「え?何よいきなり」
「いや…泊まりに来いって言われたからさ」
キャーと母親が飛び上がった。
「ラブラブねぇ」
「ちょっ…!そういうんじゃねーって。」
「照れなさんな、少年」
俺の肩をバッシバシ叩く母親。
痛いから弱く叩くか、今すぐやめるかのどっちかを選択してもらいたい。
「じゃー頑張ってきなさい。帰ってきたら初めてのお付き合いパーティしてあげるから」
「いらねーよ!…まぁ…色々ありがとな。母さん」
「?どしたの?いきなり」
うお。勘づかれるとマズいな。
「いやいや。なんでもないよ。じゃあ、今から荷造りすっから」
「頑張りなさいよー」
後ろから痛いくらいの目線と妙な期待を食らいながら、俺はリビングのドアを閉めた。
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