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「えっと……まず愛里にメールしなきゃ」
俺はケータイをポケットから取り出し、愛里にメールをした。
[行ける事になったよ。もうすぐそっちに行くからさ。]
送信。
返事はすぐに帰ってきた。
[ホント?うれしい😃ご飯は作るから食べないで来てね😍]
……了解。
なんか絵文字が無い俺の文章がやたら味気無い感じがした。
「さて…荷物も用意出来たしな…。行くか」
俺は学校のカバンと小さめのボストンバックを持って、家を出た。
もしかしたら…これが見納め…。
いや!まだあと一日は可能性があるはず!せめて明日また、この景色が見れますように………。
俺は自分の家に深く頭を下げて、愛里の家に向かった。
不良はまだ伸びていた。
カン、カンカン………。
愛里のアパートの階段を登る。愛里の部屋は……あった。202号室だ。
…ピポーン。
「あぅ」
このボタンはちょっと長く押さないと、ピンポーンってならないタイプだ。
もう一回。
指がボタンに触れるか触れないか辺りで、ガチャッとドアが開いた。
「あ、ロンくん。入って入って」
押し損ねた……。
「ん……お邪魔しまーす」
俺は少し狭い玄関に靴を脱ぐと、愛里の家に上がり込んだ。
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