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「つーかなんか持ち物とか言ってたか?先公」
一馬が聞いてきた。
「いや?なんも言ってなかったけど。一応筆記用具は持ってきたけどな」
サブバックを両方の肩にかけ直しながら答えた。
「そっか。よかったー」
…何がよかったんだろう。
「まぁ今日は居眠りタイムだな。寝不足だし。ちょうどいい睡眠時間だ!」
どうやらお前とは基本軸そのものが噛み合ってないらしい。よく喧嘩一つせずにここまでやってきたもんだ。
そして、そんなこんなで学校が見えてきた。学校は坂の下にあって、俺らがいる場所から校庭がよく見える。
「うわ。校庭で集会かよ」
一馬の野望は学校に着く前に崩壊した。
「あ!かわい子ちゃんのパンツ見たぜ!」
…露骨な中学生みたいな事を言い出した。
「先行くぞー」
未だにフェンス越しに女子のスカートの中身を見ようとする一馬を尻目に、俺はスタスタと歩き出した。
「あ!ずりーぞ!一緒にゴールインすんだ!」
ガシッと俺のネクタイを掴んで、一馬が走り出した。
「うはわぁあぁぁ!」
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