プロローグ

6/7
前へ
/25ページ
次へ
教頭がそう言い放ち、校長と一緒に校舎に帰ろうとした。―――その時だ。 「ふざけてんじゃねぇぞ!」 一人の生徒が校長の前に立ちはだかった。名前は……知らん。上級生の名前なんかいちいち覚えてられるか。 「こんな糞ゲーなんか今終わらせてやるよ」 親指を地面に突き立てる動作をした。もちろん校長に向けて。 「………君はこのゲームの秩序を乱すようだ。消えてもらおう」 ポケットから手を出さずに整然と答える校長。 「いい加減にしやがれ!死ねー!」 その生徒はバタフライナイフを出すと、校長に切りかかった。 パンッ! 乾いた音が響いた。ゆっくりと崩れる不良。 「な………」 口をパクパクさせながら不良が倒れた。 「残念だったね。私が拳銃を使えなかったら、君は勝てたのにね」 ポケットには穴が開いていた。恐らく拳銃がある。 「スーツが一着ダメになってしまったな…」 校長は何やら後ろから出てきた二人の軍人に、ゴニョゴニョ言っているが、俺には聞こえてしまった。 「あいつを焼却炉に入れて始末しなさい」 軍人はうなずくと、不良を引きずりながら、赤々と燃える焼却炉に着いた。 校庭からは、焼却炉がよく見える。もちろん全生徒の視線は軍人に向いていた。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

166人が本棚に入れています
本棚に追加