柔道編

2/2
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
自ら創設した組織を追放され、ポケットの中にあるのはわずか数千円のみ  「まあいいさ」ポールウェブはつぶやいた。  護身専門の格技など、もともと満足できるものではないことは分かっていたのだから   男に生まれたからにゃ、強さを求め、積極的に闘うべきなんだ そこに難しい理由などいらない 闘うことが格闘家の使命  冷たい北風のふく中、ポールはとある柔道場の前をとおりかかった  「さっそくこいつらを潰していくか」 ポールは扉を蹴り破り、叫んだ 「俺と勝負しろ」 すると100kgを超える大男達が一斉にポールを凝視した  そして師匠らしき男がささやいた 「私らは人を傷つけるために柔道をしているわけではない。悪いけど、無意味な決闘を受けることはできないよ」 ポールは笑った「がはははははははは 無意味だと?無意味な決闘など存在しない 格闘家は闘うことそのものに価値があるのだ。それともてめえらは腰抜けか?うわはははは」 そしてポールはいっきに跳び蹴りをはなった 師匠はひらりとかわしたがそのうしろにいた男の顔面を捉えた 「うう。」 男は悶絶した。 師匠は帯を引き締めた 「暴力とは愚かしい。暴力をふるわれたからには黙ってるわけにはいかない」 師匠はポールにつかみかかってきた しかしすぐにポールのジャブの雨が顔にふりかかる それでもさすが師匠なだけあり、ポールをつかみ背負い投げをはなった ところが身軽なポールは余裕で着地し、こめかみに後ろ廻し蹴りをはなち、全体重をのせたストレートをぶっつけた 師匠はその場に崩れ落ちた 「俺のジャブをくらってそれでもむかってこれたことはほめてやる」 ポールは柔道場の表札を奪い、去っていった
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!