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合気道編
ポールはウェイトトレーニングをしに、公営の体育館にいった。すると隣の武道場から笑い声が聞こえてきた。
ポールが何気なく目をやると、袴姿の男女20人程度がデジカメを携えながら、会話をしていた。
「よし、準備はいいか。俺が右に動くからお前らはそのとき俺の手首をつかめ。そのあと、俺が半身になったら自分から吹っ飛ぶんだぞ。いいな?これで合気道の強さを世間にアピールできる。カメラ係、しっかり写せ」
くだらないやらせビデオか。何が強さだ。ポールは呆れていた。
「こいつらに真の格闘を教えておいてやるか」
ポールはそうつぶやくと武道場に踏み込んだ。
「やい、お前ら、ナポリを見てから死ねという格言を知ってるか?」
合気道家たちは顔を見合わせた。
「ああん?なに言ってんだこいつ。俺らはな、今忙しいんだ。部外者は消えな。」
ポールはせせらわらった
「くだらねえヤラセビデオを撮り、それで自分らは強いと妄想しているお前らは哀れだ。その哀れさの中で100年の人生を生きたところでそれは無意味というもの。真の格闘を味わい、50年で死ぬほうが価値がある。そういうことだ。俺が真の格闘を教えてやる。」
すると男はこちらに近づいてきた。
「分かった。それでは戦いはいつにする?」
ポールが「今」といい終わるか終わらないかのうちに、男は喉をめがけて、突いてきた。
しかし、ポールにそんな小手先の手段は通用しない。軽くかわしたのだ。周りの連中は青ざめた。「く、今の避けられたんじゃ、もう勝ち目は薄い。」
ポールは一瞬笑みを見せ、次の瞬間、獣と化した。容赦ないパンチの嵐の前に男はなす術なし。前かがみにたおれそうになったところに、ポールの必殺技、かかとおとしが炸裂した。それはまるでクジラが尻尾をおもいっきり水面にたたきつけているかのような迫力であった。
男の意識はいずこへととんでいた。
「弱すぎたな。これがお前ら雑魚の本性さ。いくらやらせビデオを撮ったところで雑魚である真実は変わらない。自らの弱さを直視し、鍛錬し、格闘へ挑戦すべきだ。ナポリを見てから死ね」
ポールウェブはそう言うと、ビデオカメラを破壊し、ウェイトトレーニングをしに、戻った
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