第一章 始まりの鐘は鳴り響く。

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アンダーグラウンド。 『外』と隔離されているこの村は無機質なチタンに囲まれている。 もう何年も前に『外』では大きな戦争があって人が住めない世界になった。 そして残された人々はこのアンダーグラウンドを作ったらしい。 完全に隔離されているこの村には空がない。 昼と夜を分けるのは天井に埋め込まれた球体が発する光だけ。それが消えれば夜。 本当の時間は分からない。 只、一つ。 この小さな世界の問題。 それは子供だ。 何故かアンダーグラウンドでは子供が殆ど育たない。 生まれてきた赤ん坊はすぐに死んでしまう。 環境が悪いのか、ともかくこの世界では子供にとって住みにくいらしい。 ユタとマリエルはこの村で唯一の子供だ。 他の子供達は死んだ。 仲の良かった友達も呆気なく消えて残されたユタとマリエル。そんな過酷な世界で二人は健気に生きていた。 「そういえば、ユタ、ユリシカお姉ちゃんの夢見てた?」 パンを口に手で契りながら食べてるマリエルが尋ねた。 「えっ?なんで分かるのっ?!僕もしかしてなんか言ってた…?」 「言ってた言ってた。ユリシカお姉ちゃんって。」 「もー恥ずかしいな…マリエルの意地悪っ。」 「ごめんごめんっ。」 「はぁ、でも久々にユリシカお姉ちゃんの夢見たなぁ。」 「………。」
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