3話 赤ちゃん

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警察が到着し、カップルは捕まりました。 その後、救急車も到着しました。 明らかに死んでいても、救急車で病院に運び、死亡を確認する必要があるそうです。 警察の検分は昼過ぎまで続き、その後僕も警察署で事情聴取されました。 悲しさと絶望と「もっと僕が気をつけていれば、この事故は防げた」という自責の念を感じながら 自宅に帰りました。 疲労と眠気と吐き気を抱えながら、その日は泥の様に眠ったのです。 翌朝、シングルマザーは新聞に載りました。 その時は、別に世間を騒がせる大きな事件があった為か この事件の取り扱いは小さく、記者が取材に来る事もありませんでした。 これで全てが終わったかに思えたのですが… 数日後… 僕を含め、従業員に異変が現れます。 仕事中に突然、耳鳴りがするのです。 それは キー…ンという音ではなく 「オギャア…オギャア…」 という赤ちゃんの泣き声の様に聞こえました。 あの女性用トイレの近くを通る度に この耳鳴りは起こりました。 もちろん一般のお客様にも聞こえる人が居ました。あの事件のショックで何人ものアルバイトが店を辞めてしまっている状況で、僕は問題を掘り起こしたくなかったのです。 従業員には箝口令を強いました。 これで事態が鎮静化すればと思っていたのですが… ソレは起きてしまったのです。 僕が仕事を終え、車で自宅に戻る途中でした… その日に限り、足に酷い倦怠感を覚えていました… 交差点の信号が赤に変わったので、ブレーキを踏みました… …が! 車は加速し!高速で赤信号の交差点に進入します!! キキィー!! パパァン!! けたたましい数のブレーキ音とクラクションが鳴り響きます! ドガシャア!!!!! 今まで経験した事ない衝撃が全身を突き抜けました! 死んだ!!! と思いました… 僕の車は奇跡的に交差点をすり抜け、少し過ぎた場所の電柱に衝突して停止しました。 …なぜ? と反射的に足元を見てしまいました。 頭から血を流した赤ちゃんが、僕の足にしがみついて居ました… 事故の衝撃と、あまりの恐怖で僕は気を失いました…
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