3話 赤ちゃん

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救急車で病院に運ばれる途中で目を覚ましました。 軽く頭を打っていただけなので、病院でレントゲンを撮り、簡単な処置でその日は帰りました。 次の日は仕事どころではありません。 休みを貰い、近くのお寺に行きました。 ワラにもすがりつく思いでお祓いをお願いしたのです。 その時の住職のお話です。 亡くなった赤ちゃんの親はお葬式をあげていない。 その為、亡くなった場所から離れる事が出来ず、成仏も出来ない。 僕の心に付け入る隙があったので、僕について来てしまった。 住職さんの薦めで、住職さんとすぐに店に向かい 赤ちゃんが亡くなったトイレでお経をあげて貰いました。 懸命に成仏を願い、僕も手をあわせました。 住職さんは「もう大丈夫」と僕の肩を叩きました。 すっかり肩が軽くなり、住職さんをお寺に送った後 店に戻って仕事をする事にしました。 その日の深夜です… 恐らく、赤ちゃんが亡くなった時刻でしょうか… 店内が一瞬暗くなりました。 照明である蛍光灯の電圧が弱くなった様な感じです。 次の瞬間… オギャア!オギャア!オギャア!オギャア!オギャア!オギャア!オギャア! 赤ちゃんの泣き声が爆音で店内に響き渡りました… 店内ミュージックの有線が数秒間、赤ちゃんの泣き声に変わったのです… 店にいる誰もが凍り付きました… あれは赤ちゃんのサヨナラだったのでしょうか… それとも…
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