1話 開かずの間

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僕は自分の店舗にこんな怖い場所がある事を、ネタとして従業員に話ました。 僕を含め、従業員達もまだ10代20代の若い連中です。 当然の如く、閉店後に肝試しが始まりました。 閉店の時間は朝5時くらいで少し明るくなる頃でしょうか… 皆で順番に入りました。 今思えば、僕は少しばかり危険なモノを感じてはいたのですが… リングの貞子を想像しての恐怖だと思い込んでしまっていました。 肝試しの役目を終えた開かずの間を、もう一度電動ドライバーでネジ止め封印し、その日は何事も無く帰りました。 もう開かずの間が話題に出なくなった頃でしょうか… 年末年始の忙しさが終わり、従業員だけで新年会を開く事になりました。 閉店時間は5時なので、どこの居酒屋も閉店しています。 仕方なく、自分達のカラオケ店のパーティールームで宴会をするのが恒例でした。 僕を含めて15名ほどでドンチャン騒ぎし、皆で酔い潰れて開店時間を迎え、早番シフト組はそのまま勤務に入ります。僕がお昼頃に目を覚ますと バイト「店長!○がいません!」 僕「寝てる間に家帰ったんじゃないか?」 バイト「時間になっても来ないから、携帯に電話しても電源切れてて、○ん家に電話したんすけど」 僕「家に帰ってないの?」 バイト「はい…」 これは事件だと思い、パーティールームで寝ている従業員を叩き起こして 店中を捜索しました。 しかし○はいません… 酔って帰る途中で事件に巻き込まれた可能性があると思い、警察にも通報しました。 しかし… 二日たっても○は見つかりませんでした。 警察からは家出の可能性が1番強いと連絡が入り、 親御さんは「絶対にそんな事はない!」と警察の予測に発狂寸前で抗議していました。 僕は重大な責任を感じながら、勤務時間外の全てを○の捜索に当てました。 カラオケ店の営業時間が終わり、○を捜索しに外に出ようとした瞬間… ピリリリ! 僕の携帯が鳴りました。 なんと○からです!
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