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「おー、纏さんおはよう。」
逸琉達がテーブルを囲む、もう慣れた光景。
私達も逸琉も、気づいた時には孤児院で、私が中学三年生になろうかという時、纏さんが六人全員を引き取ってくれると言ってくれた。纏さんは一度だけ私達に話してくれた、自分の過ちを。
「僕には前の奥さんとの間に二人息子が居てね、だけど僕と奥さんは思い通りにならない長男を見て精神的に参っていたのだろう、辛くあたってしまってね。
長男が泣き出す姿を見るといてもたってもいられなくて、庭に追い出していた。」
それはまるで、過去の自分を嘲笑うかのように淡々と、時には感情的に語っていた。
「次の子を産めば心に余裕が出来て長男にも優しく接することができると信じていた。
次男が産まれ、子育ても順調で、だけど長男への扱いは変わらなかった。
あの子を庭に出し、三人で過ごす時間が心地良かった、同時に長男に同情していた。
本当に僕は最低だ………それでもあの子は心配かけまいと歯をくいしばって、懸命に次男の世話をしていたというのに!
そんな息子達をよそに夫婦仲は悪くなり結果息子の学費と生活費を二人で払い続けるという約束で離婚した。
本当に馬鹿な父親だ………。」
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