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纏さんはきっと今日までとてつもない人生を送ってきたんだ、経緯はどうであれ纏さんは苦労してきた、それでも現実をしっかり見つめ、受け入れることが出来た。それに、後悔も。
「六人分、学費も生活費も僕が全て負担する、だから頼むっ!」
ぽろぽろと流れる涙を隠すように頭を床にこすりつける纏さん。その姿を見て私は確信し、隣に居た兄さんの袖を引っ張った。
「頼む、僕にもう一度一人の人間として、立派な子を持つ父として、やり直すチャンスをくれ!!」
「……纏さん、やめてください。」
額から血が出るほど深く頭をこすりつける纏さんを制したのは弥宵兄さんだった。
「妹に免じて僕達は貴方にチャンスをあげましょう、だけどあちら側は………。」
弥宵兄さんが未朔を見ると未朔は咳払いをした後。
「俺は途鐘という姓を捨てない、それに貴方の養子になる気もない、学費や進学だって俺達が本気を出せば問題ない、弟共にはそれぞれ選択肢をやるが、生活費は流石に難しい………。」
「それなら私が……っ!」
「丹逢、逸琉、早く答えろ。」
「未朔兄がそう言うなら俺は良いぜ?」
「兄さんがそれで良いなら。」
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