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けたたましく電車の汽笛が鳴り、
「おじさん!」
思わず、何人かの人が叫び、おじさんがニコッと振り返った、その瞬間、急ブレーキのキキキキキーッ!! という鋭く耳障りな音がして、目の前に電車が止まったのです。
そして、ゴロッ! という音がすると、踏切の先頭に立っていた兄と私の足元に、おじさんの生首が落ちて来たのです。
微笑んだまま、一瞬にして生気を無くしたその顔は、兄と私を見て、睨みつける眼差しに変わったのです。
私の記憶はここまでなのですが、兄や両親に聞いた話しを付け加えます。
当時、私の父は交通事故にあい怪我をしていました。
入院する程の怪我ではなかったのですが、その事故の相手が、おじさんだったのだそうです。
父は病院勤めをしており、たまたま救急車に乗っていて、搬送中の事故だったらしく、警察官をしていたおじさんは、その事を苦にしての自殺だったのだそうです。
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