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「ま、あらかた話し終えたかな。なんか聞きたいことはあるか?」
「ううん。大丈夫」
まぁ大事なことは一通り教えたからな。
「しかし…オレは本当お前等に聖杯戦争なんか参加させたくなかったんだけどな…」
「足手まといってこと?アキラ、私の魔導師ランク。覚えてる?」
「いや、そういうことじゃなくてだな…」
まだ中学三年生の子供を血腥い聖杯戦争に巻き込むってことがオレは嫌だ。
そう思った瞬間、時計のベルが鳴った。21時を知らせるベルだ。
「じゃあもう遅いから私は帰るね」
「送っていくから、ちょっと待っててくれ」
「そんな、いいよ。まだ九時だしそれに私の強さだって…」
「途中でサーヴァントにでも襲われたらどうするんだ。とりあえず今日は送られとけ」
そうフェイトを無理矢理納得させ、外に出る。
「じゃあ車取ってくるから待ってな」
「え?アキラ車持ってたんだ?」
「なんだその意外そうな反応は……。この世界だと移動方法が制限されっからな。車の一つくらい持ってないと色々困るし不便だろ」
まぁそもそもこっちの世界に来ることが少ないから全然使ってないわけだが。ガソリン入ってたっけな…?まぁ多分入ってると思うが。
「じゃあちょっと行ってくる」
フェイトにそう言い残し、屋敷の裏手にある車庫に回る。
「っと、車庫の鍵がねぇじゃねぇか…」
滅多に使わないから忘れてたぜ…。家の鍵とは別だったんだよな…。
裏口から屋敷に入り、車庫の鍵を回収してふと思った。
「別にオレ、鍵なんかなくても開けられんじゃん…」
解鍵の魔法があったのを忘れてた…。しかもそんな魔法使わなくても普通にピッキング出来るっての……。
「ったく、オレともあろう人間がなにテンパってるんだか……」
まったく新米じゃあるまいし……。常に隠密迅速を心掛ける埋葬機関の名が泣くぜ……。
まぁせっかく鍵を取ったのできちんと鍵で車庫を開ける。
「お、まだ意外と綺麗だな」
オレの愛車。とにかく高い高級車らしいのだが、もらい物なのでよくオレは知らん。
エンジンに火を吹かせる。……よし。ちゃんと動くな。さすがだ。
そして車に乗り込んだ瞬間、膨大な魔力反応が発生した。
オレの…家の前で。
今、フェイトがいる場所で。
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