-inter rude01 #Fate-

2/4
前へ
/62ページ
次へ
「少し、温かくなってきたかな」 五月ももう半ば。あと二週間も経てば制服も夏服になる。 だが、やっぱりまだ少し肌寒い。 「うーん」 今の状況を冷静に考えてみる。 ・時刻は夜 ・車で送る ・私は中学生 ・相手は成人男性(多分) 「大丈夫かな…」 状況だけ羅列すると目茶苦茶危ないどころか、もう自分から襲われに行ってるようなものだ。 「ま、まぁアキラなら大丈夫だよね」 言葉遣いは少し荒っぽいし、行動も少し乱暴だが、誠実な人間だ。 態度で私のことや、なのは達のことを真剣に心配してくれているのがわかる。 あのロンドンの時にアキラが怒ったのも、詳しくは知らないが、誠実な内容だったであろうことは伝わってきた。 だから、彼に限って私を襲うなんてことはないだろう。 「うん、アキラなら大丈夫だよね」 「いいやどうかな?アーチャーって奴ァみんな騙し討ちをやるからよ。アサシンみてぇにな」 いきなり頭上から太いが、まだ若い男の声が聞こえてくる。 私は咄嗟に後ろを向くと共に、距離を取った。 そして私は、その声の主を見て驚愕した。 青い甲胄に、紅い長い槍。そして私を居抜く様に見据える殺気に満ちた真紅の瞳。 そして隣りに立つ、魔力を帯びた球体を展開している女性。 「貴方たちは……!」 「察しはつくよな?オレはサーヴァント・ランサー。そしてこっちはオレのマスターだ。よろしく頼むぜ」 「貴方はアーチャーのマスターで相違ないですね?」 やはり…サーヴァントだったか…! 話しには聞いていたが、とてつもない魔力を持っている…。 「まぁこんな街中で戦うのもアレだ嬢ちゃん。場所を変えないか?」 私は少し迷った。アキラが来るまでの時間稼ぎをするかしないか…。だが、私は結局、 「わかった。周囲の一般人に迷惑なんてかけたくない。どこか場所に希望はあるか?」 私は結局、一人で戦いに受けて立つことにした。 「話が早くて助かるぜ嬢ちゃん。ついてきな!」 ランサーとそのマスターが勢いよく飛翔する。私も即座にバリアジャケットに着替え、その後を追う。 ……聖杯戦争が、始まるのか…… 私は、感覚的にそれを感じていた。
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

388人が本棚に入れています
本棚に追加