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「くッ……!!そがッ…!」
歯ぎしりで歯が砕けそうだ。
たしかに断る理由はない。いや、“断れない”んだ。
任務は絶対だ。仮にここでオレがこれを拒否して管理局を無視して動くとなれば絶対に管理局はフェイトを含めたより大勢の増援を派遣してくるだろう。
そして、それだけの人間を聖杯戦争に巻き込む事になる。
だが…!フェイトを…、他人を…、友人を巻き込みたくない……!!
聖杯戦争は殺し合いだ。そんな血腥い戦いにまだ15歳の少女を巻き込むなんて…!
だがオレにもフェイトにも拒否権はない。
「勝手にしてくれ……ッ!」
もう怒りを抑えられそうにない。
怒りが爆発する前にオレは会議室を出た。
「連絡は、今夜にでもいれる。君は地球に降りる準備をしていたまえ」
去る間際に、そんな声が聞こえた気がした…。
「準備は終わりましたか隊長?」
「………ああ」
「話は聞きました。私には正直なにも言えませんし聞きません。ですがこれだけは言わせていただきます」
なんだ…?クレアの奴いきなり真面目になって…。
「貴方は地上部隊の希望の星。優秀な魔導師のほとんどが空に持っていかれてるというのに貴方は地上部隊で活躍し続けた。今や陸士212部隊は“赤壁”という異名までついたエリート部隊。そして貴方はその部隊の隊長なんだ。貴方はいずれ本局地上部隊のトップに立つ人間。このような事件で、絶対にいなくらないで下さいね」
それは、長い間一緒に戦ってきた副隊長からの…一番信頼出来る戦友からの激励だった。
「わかってる。帰ったら再びこき使ってやるから過労死すんなよ?」
「はい。留守は御任せ下さい」
お陰で下がっていたテンションが上がってきた。
この戦い…絶対に勝つ…!
「それでは時間です。隊長。御武運をお祈りします」
ついに…時間がやってきた。
地球に向かう…聖杯戦争に参加しに行く時間が。
「よし、行ってくる!」
そしてオレは、ミッドチルダから管理外世界、地球の冬木市へと…決戦の舞台へと向かった…。
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