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「ついに…来ちまったな……」
冬木市の町並みを見て改めて実感する地球の存在。
そして…“オレ達”にしかわからない聖杯戦争の空気。
「(もう明日か明後日か…その辺に始まってもおかしくないな)」
それほどピリピリしている空気ということだ。
「(とりあえずフェイトに会いに行くか…)」
現在時刻午後三時半。今からフェイトの学校に向かえばちょうど下校の時間に着けるだろう。
たしかフェイトの学校名は…海鳴中学校だっけ?
いやいや、んな愉快な名前じゃなかった。…そうだ、聖祥大附属中学だよな。うん。たしかそうだった。
フェイトに聖杯戦争の詳細や、サーヴァントやマスターとかを教えなくちゃいけないしな。
「(教会には行きたくねぇし…)」
とりあえず諸々のことを整理しながらゆっくり向かいますか…。
「しまった…これを失念してた……」
聖祥大附属中学校門前。オレは周囲半径50m付近を生徒という名の野次馬に囲まれていた。
「(ここが女子高だってこと忘れてたぜ……)」
自分は男だ。それに容姿もかなり人目を引く。
そしてさらに普段から男に関わることのない女生徒から見ればオレが校門前で誰かを待っているという事はかなりのスクープだろう。
「(こりゃフェイトが来たら速攻で逃げるしかないな…)」
でなければ色々と面倒なことになるだろう。フェイトが。
かといってフェイトにこっそり会いに行くのも不振過ぎる。
「(緊張感ねぇな……っと、フェイト来たか…!)」
なのはやはやて達と一緒に歩いているあの長い金髪の少女は間違いなくフェイトだ。
風を切り、目にも止まらぬスピードでなのは達に肉薄する。
「オレだっ。フェイト借りてくぞ」
そしてそのままフェイトを抱き抱えて塀を飛び越え脱出する。
本気で走ったから多分誰と一緒だったかは野次馬にはわからないだろう。なのは達にはわかるが。
そしてそのまま一息で速攻でフェイト宅まで到着した。
「ふふふ、アキラ。バルディッシュで斬られたい?」
フェイトが顔を真っ赤に染めて本気でキレてらっしゃる。
「あの……フェイト?…あれだ、いきなり連れ去ったのはすまなかった。だがな…」
「いいから降ろしてーっ!」
「ぐはぁっ!」
バルディッシュでオレは吹き飛ばされた。
…オレ、少し無茶苦茶やりすぎたかな?……ガク。
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