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「いきなり担ぎ上げるのはどうかと思うよ」
「いや、誠に申し訳ない」
だからといって堂々と迎えに行った方がフェイトが怒るような気がする…と思ったが口には出さないでおいた。
「それで、なんの用だったの?」
「え、フェイト聞いてなかったのか?」
まだフェイトに聖杯戦争の任務のことは伝えられてなかったのか…?
「いや、今回オレとフェイトの協同任務っつーか…、そこら辺のこと聞いてないか?」
「秘匿級古代遺物『聖杯』の回収任務のこと?」
「そうそうそれそれ。そのことについて色々話しに来たんだが…」
なるべく明るい感じで喋る。本当はもっとテンションが低い。というかフェイトに話すのが真剣に心苦しい。
気を抜くと溜め息が出そうになってしまうが、そんな醜態を見せてはフェイトに心労をかけるだけだろう。
「だったら、普通に迎えに来て欲しかったな…」
「あのな、オレは自分が大量の視線の的になってる状態でフェイトに普通に会いに行ける勇気はないぞ」
「…なるほど」
想像がついたのか、理解が早くて助かった。
「で、どっかで落ち着いて話さないか?」
いつまでもフェイト宅前で話し続けるのは迷惑だろう。…フェイトの家族には会いたくないし。
なんせエイミィ元通信士除いた全員…クロノ提督やリンディ提督などに会ったら絶対疲れる。
「(オレも結構な地位に居るとはいえ、さすがに提督には及ばねぇしな…)」
「オレの家でいいか?こっから近いんだ。…って前にちょっと話したよな」
あそこなら結界もあるし安全…というわけではないが少なくともそこら辺の喫茶店よりかは安全だろう。それになにより機密漏洩の心配がないのが一番の理由だ。
「私は別に構わないよ。秘匿級だけに情報が乏しかったから、色々助かるよ」
はぁ…オレとしたら何処まで話していいのか考えて教えなきゃいけないから面倒いな…。全部喋ったらフェイトの士気を下げるだけだし恐らく“迷い”が出る。
「(慎重に話さなきゃな…)」
「じゃあ、行こう?」
「おう、案内する」
そうしてオレとフェイトはオレの自宅へと向かった。
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