-FoF Episode 1-

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「ここが、アキラの家…」 「あんま好きじゃねぇんだけどな。まぁ防犯対策が有能だから今回の任務中の拠り所にするには打って付けの場所だ」 「へぇ…、じゃあ御邪魔します…」 恐る恐る、といった感じで扉をくぐる。 まぁ畏縮する気持ちもわかるっちゃわかる。なにせ外観が巨大な屋敷だし玄関も本当、“門”って感じだからなぁ。 そしてリビング…居間と言った方が正しいか。居間にフェイトを案内する。 「ま、茶でも淹れるからてきとーに座っててくれ」 「うん、わかった。ありがとう」 キッチンに行き、使われてなかった湯飲みを取り出す。 そして二人分の茶を淹れて居間に戻る。 「粗茶ですが…。インスタントだが」 「ふふ、ありがとう」 小さく微笑み、茶を受け取るフェイト。 とりあえずオレもフェイトのテーブル挟んで正面に座る。 「………とりあえず、なにか聞きたいことがあるなら聞いてくれ」 このままだと沈黙が続きそうだったのでオレからそう切り出す。 「じゃあ…今回の任務、聖杯の回収。そして聖杯戦争の参加…。そもそも、聖杯ってなんなの?」 ま、当たり障りないくらいに話しますか…。 「秘匿級古代遺物『聖杯』…その概要…能力って言い方をするなら《あらゆる願いを叶える願望機》ってシロモノだ。その力を持ってすれば事実上不可能はないとまで言われてるな。余談で一応聖杯の歴史っつーか伝承を教えておくと、《神の血を受けた聖なる杯で最高位の聖遺物》だ」 「そんな…!不可能がない願望機なんて有り得ない…!あったとしても危険過ぎる…!」 「だから、“秘匿”級なんだろ」 叶える願望に不可能はない、ということは世界征服。無限の財産。そして世界の滅亡なんていうとんでもない願いまで叶えられるということだ。 「そんな古代遺物…、絶対に悪い人間に渡しちゃいけない…!」 「フェイト、少し落ち着け」 今のフェイトの表情は張り詰めているというか…後悔というか、とにかく深い信念が感じられた。 「ご、ごめん。ちょっと興奮しちゃって…」 「ま、あんま気にするな」
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