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俺の名前を聞いた瞬間、山本の顔つきが変わる。その瞬間、ふと気になった。
(そういや、俺って結局どういうことになってるんだ?)
体は今神様が直してくれている。だとしたら俺は今この世界に存在していないってことになる。
(やっぱ、死んだってことになってる……?)
山本の表情からも何となくそんな感じが見て取れる。
「うん……」
山本の質問に朱美も少し肩を落とす。表情もどことなく寂しげだ。
「そっか……」
そんな様子の朱美に、山本は何も言わず優しく頭を撫でる。
「大丈夫さ、あいつは必ず戻ってくる」
慰めにもならない言葉。でも、山本にはそれくらいしかかける言葉がないんだろう。
(やっぱり、俺……死んだことになってるんだな。少し寂しい――――)
「単なる留学なんだから」
(えーーーー!! そんな設定ーー!?)
あまりの予想外さに、俺は言葉を失うしかなかった。
授業の終わりを告げる鐘が鳴り、休み時間になった。
「終わったぁ~~……」
俺を膝に乗せている朱美は割かし集中していたようで、溜息をつきながら伸びをしていた。
(こんだけ頑張って授業受けてるのに成績はあんまよくないんだよなぁ、朱美は)
テストは平均ギリギリ越えるかといったものばかり。かといって運動神経がいいわけでもなく、ずば抜けていいものは何もない。
まぁ、俺も人のこと言えないけど。
「亜紀ちゃん。授業終わったよ」
隣を見ると、山本は授業が終わったことも知らずまだ寝ていた。
俺を席の上に置き、朱美は山本の体をゆする。すると、山本はむくむくと遅い動作で体を起こした。
「んあ……? はれ? 授業終わったの?」
(まったく……こいつは……)
「とっくにだよ。もぅ……また寝てたの?」
目をこすりながら周りを確認する山本はまだ寝たりないといった表情だった。
「ほら、急がないと次の授業始まっちゃうよ」
朱美は呑気に欠伸をする山本を急かすと――――
(へ――――?)
いきなり制服を脱ぎ始めた。
「あ、そっか。次体育か」
その行動を見て、山本も脱ぎ始める。
(はわ、はわわ……といよりもたわわ……)
今俺の目の前には四つの山がそびえ立っている。
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