パペマペ!? 30センチから見上げる世界

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「ていうか、今体すら見えなかったぞ……?」  慌てて視界の近くをきょろきょろと見渡す。しかし、俺の体らしきものは何も見えなかった。 「どうなってんだこれ……」  あまりに不気味すぎるこの状況。自分の身に何が起きたのか、全く理解できない。  そんなとき、どこからか光が俺の視界を照らした。 「うっ……」  まぶしさに耐えかねて目をつぶる。 「安藤弘人」 「!?」  続いて、俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。低い男の声だ。  光が直視できるほどまで弱まり、俺はその光源を確かめようと見た。  そこには、巨大な人型の何かがいた。 「な、なんだこいつ……」  それは見るに耐えられるほどにまで弱まったものの、未だに神々しい光を放っている。 「なんだとは失礼だな」  そう答える巨人。低い声に放たれる光も相まって、凄まじい威厳がある。 「あんた、人間……?」  恐る恐る声をかける。その言葉に巨人はこちらを見るような仕草をし、言葉を紡ぐ。 「違う」  人間ではない。誰が見てもそれは一目瞭然だ。  巨人は続ける。 「私は神だ」  ……。  …………。 「は?」 「神だ」 「……」  今、俺にはさっきまで感じた巨人の威厳も神々しさも、既に感じなくなっていた。 「はぁ、神様……ね」 「んだこら、文句あっか」  今の言葉づかいだけでだいぶ信憑性も薄れたぞ。 「いや、文句はないけど……」 「よろしい」  神様は信じてもらえたのが嬉しかったらしく、ご満悦のご様子。 「……一つ聞きたいんだけど」  とりあえず神かどうかは置いといて、俺は自身の状況について聞くことにした。 「なんだ?」 「ここどこ?」 「天国だ」  予想通りの言葉が返ってきた。 「てことは、俺は死んだのか?」 「あー……まぁそういうことになる」  俺のその質問に神は明後日のほうを向きながら答えた。 「なんでそっぽを向く」 「あ、いや……」  今度は頬をかきはじめた。 「なんで頬をかく」 「う……」  俺が言葉を発するたびに、神は小さくなっていく。 「その、だな……。間違いだったのだ」 「は? 間違い?」 「あぁ……」  そしてぽつぽつと喋り始めた。 「お前は本来あそこで死ぬ予定の人間ではなかったのだ」  ……。 「はぁ!?」  じゃあ俺は手違いで殺されたってことか!? 「じゃあ俺は本来であればもっと生きていられたってことか!?」 「も、もちろん手違いで死んだのだから、お前は生き返らせる!」
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