act1

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ギラギラと地上を照らす太陽とはさっきお別れしてきた。 青い空にも、高いビルにも。 三年間暮らした家にも。 親友といえる子はいなかった。 それが唯一気分が落ちこまずにすんだことだ。 別れは苦手だ。昔から。 もちろん恋人だっていない。人生でいた試しがない。 それを淋しいと思ったことはない。 しかし、やはり住み慣れた街を離れるのは淋しい。 正反対に、新しい場所での生活に心踊る気持ちもあるが、私が憂鬱な原因は、その新しい場所なのだ。 .
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