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病院へ・・
俺はシェイクスピアの『ジュリアス・シーザー』という作品を読んだことがある。
「ブルータス、お前もか・・」という有名な(無様な)台詞は知っているだろう。
別に、興味があった訳じゃなくて、ちょっと知的な兄貴と思われるのも悪くないと思った程度のこと。
『臆病者というのはな、死の前に幾度も死ぬものだ。
ただ、勇者だけは一度しか死の味を知らぬ。
天地の異変はおれも聞いてはいるが、なんともわからんのは、人間が死を恐れているということ。
死、こればかりは人間誰しも免れえぬ必然の帰結である。
考えてもみろ、来るときには必ず来るのだ。』
死を恐れない奴が英雄ってんのなら世の中のリスカ少年やら少女やらはそれになり得る素質がある。
自殺未遂者もまたしかり。
俺の相棒は医者に止められているのに糖分接種を控えようとしない。彼も英雄。
死んだ奴がそれかどうかは知ったことではない。
ただ、この間抜けな英雄を相棒に照らし合わせると、
何故か顔もわからないこの高慢男が誇りに満ちた輝きを持っているように思えた。
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