同級生

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或日、零は久し振りに同級生と会った。その男は中学の頃同じクラスだった。その男の名を田所だと想い出す迄に十数秒懸かった。突然、声をかけられて少々緊張気味だった。それでもテンションを揚げて、…と云う寄りも揚げ方を間違えながら酒を引き掛けあった。駅前の店内はやや暗く、オフィスとは違った感覚になった。 注文を済ませて世間話に徐に拍車が懸かった。田所は切り出した。 「俺、先週結婚した…」何かと思えば自慢かと内心冷ややかになる。然し、只の“冷ややか”ではない。厭な感覚が広がり出す。呑みならず、その同級生にどんな運命が仕掛けられて居るのか判然としない。案の定やはり碌な噺が出てこない。 「だから俺には必要無い。相手が仮面で本性を隠す。自分も本性を隠す。そうやって躍起になる。そして、全て終わってから後悔する。意見の食い違いも起こる。更には、癇癪に訴える。破滅する。…馬鹿げている。あ…否、悪かった…。」 零が訂正した後、田所は少々蒼冷めた容子で生返事を返した。少しくばつが悪い。田所が続けた。 零が訂正した後、田所は少々蒼冷めた容子で生返事を返した。少しくばつが悪い。田所が続けた。
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