序章

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 不二大和(フジヤマト)は、地毛である赤い髪を揺らしながら、これから始業式を迎える学校に登校していた。  大和は高校二年生。  一年の時に、毎度毎度の試験でいくつか赤点を取りはしたものの、進級は辛うじてしたということは留年をしなかった証である。  家族はいない。  両親は、大和が六歳の頃、交通事故で死んだ……と聞いており、中学卒業まで親戚の叔父の元で暮らしていた。  だが、現在はその叔父の援助の元、一人暮らしをしている。  友人は多い。  気さくな性格や、割と良い容姿が巧を奏してかどうかは知らないが、何でも話し合える友人というのは多かった。  特に青柳(アオヤナギ)、栗生(クリュウ)といった友人は親友とも呼べるに値する程仲がいいのだが、いずれ話すので割愛しておく。
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