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「きゃあっ❗❗」
突然城中にマリアニールの悲鳴がこだました…驚愕と絶望にも満ちた叫び声だった。
「如何した❗?姫よ❗」
アルデインとイリアは慌ててマリアニールの部屋に飛び込んでいった…。
そこにはあの美しかったブロンズの髪がみるみる碧色に変化をしていく我が娘の姿があった。
「お父様…私…❗❗」
状況が把握できないのかしどろもどろしていた……。
「あ…碧き髪の伝説…❗」」
イリアはそう言うとその場に倒れ込みアルデインもまた倒れたイリアを抱きかかえて涙を流しその場に座り込んでしまった。
「何故だ…今までブロンズであったマリアの髪が何故……碧き髪に❗」
マリアニールを見ようとせずアルデインは自分の顔を抱え込んだ……。
「貴様❗これより先は立ち入りを禁ずる❗」
衛兵の声が部屋に入ろうとする一人の老婆を留めた。
「不憫よのぉ…アルデイン……」
老婆は王に向かってそう言い放った。そしてマリアニールに向かって歩き始めた
……。
「あなたは…神官デルタ……何故ここにいるのだ❗」
アルデインは老婆に向かってひざまずいた。
「よいよい…アルデイン…それよりも私が何故ここに来たかはわかっておるか?」
デルタはそう言うとマリアニールの元へと近寄っていく…その表情は険しく、厳しいものだった…。
「ま…待て❗神官デルタよ…碧き髪を持つものとはいえ…我が子を殺さないでくれぬか❗❗?」
そう言うとアルデインはマリアニールを庇うようにデルタから守ろとしていた…。アルデインにとって初めての娘。こんなに愛らしく優しい我が子が災いをもたらすとは考えられなかった……。
「アルデインよ…その子は災いを呼ぶやも知れんぞ?」
デルタは話しながらもマリアニールに一歩また一歩近づいた…。
「かまわぬ❗災いなど起こさぬ❗だから…神官デルタよ❗❗」
アルデインは我を忘れて懇願した。信じて疑わなかったのだ…自分の娘が災いを呼ぶなど…。
「ふぅ」とデルタが溜め息に似た安堵の言葉を発した。マリアニールに近づくとデルタは座り込みマリアニールの頬を撫でた。
「し…神官デルタ…」マリアニールは泣きながら優しく頬を撫でるデルタに甘えるように身を任せた。
「辛いよのう…だがお前はこれからその運命と戦わなければならんのだ…」
デルタはマリアニールの体を立たせると伝説の真実を語り始めた。
「今こそ明かそう碧き髪の伝説の真実を」
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