3人が本棚に入れています
本棚に追加
美しい国を一夜にして廃墟としてしまうほど強く巨大な災いをもたらす力を持つ碧き髪の娘……。しかし…伝説は紆余曲折し、負のイメージだけが残ってしまった…。デルタは続けて語り始めた。
「我等神官は元は碧き髪の娘に仕える使者だった。我等の力は碧き髪の娘の力の一部を与えられたものだった」
デルタはイリアとアルデインに向かって淡々と話した。
「悪魔の…力を?」
イリアは混乱する頭でなんとかデルタの話に耳を傾けた。デルタはイリアの発言に睨みつけるように、一瞥した……。
「悪魔の力などではない❗❗元は碧き髪の娘は神の力を与えられた女神なのだ❗」
デルタは髪を振り乱しイリアの暴言を問い詰めた。
「伝説の何を間違えてしまったのか…いや…違う…今までの碧き髪の娘が女神の力を御しきれなかったのだ……だからあんな結末になり、女神は悪魔の力だと偽りの伝説を人々が作り出してしまった」
デルタはアルデインに歩み寄り、手を取り、涙を流した。
「し…神官デルタ?」
アルデインは何のことか分からず涙を流すデルタに不思議な感情を抱いた。母親の暖かさのような………。
「私は…どうしたら…?」
マリアニールは不安そうにアルデインとデルタを見つめる。
「良いか…マリアニールそなたは伝説通りエリクシオンに向かわねばならぬ。」
エリクシオン…この世界にある聖なる山の名前だった。
「エリクシオン?しかしあの山は神の山…誰一人立ち入れず、立ち入れば神の雷が降り注ぐと伝説だ❗」
アルデインはマリアニールの身を安じて、危険な事は避けたかった。
「そこで神に力を返さない限り、また碧き髪の娘は増えていくぞ❗幸いにマリアニールは神の力を御しきれている❗今しかない❗」
デルタはマリアニールが力を返さない限り災いは増えると説得を始めた…。
「神の山はマリアニールを受け入れよう…安ずるな…」
デルタはマリアニールにペンダントを手渡した。昔女神がしていたペンダントで必ずマリアニールを守ってくれるだろうと…
「私……行きます❗」
マリアニールは自分の運命を受け入れようとしていた…エリクシオンに向かえば父や母に迷惑をかけなくて済む…これ以上犠牲者を増やさなくて済むと考えたのだ………。
「辛く厳しい道のりとなろう…お前が歩む道は正しき道と信じよう……」
最初のコメントを投稿しよう!