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母は自分を忘れてしまうだろう。帰ってきたとしても…前のようには愛しては貰えない…マリアニールは父の愛情とは別に深い悲しみに襲われながら、レイスと共に国を出ようとしていた……。
「マリア❗❗」
マリアニールを呼び止めたのはイリアだった。護衛も付けず、城門まで一人走ってきた…。
「お母様…護衛も付けずに❗危のうございます❗❗」
城門とはいえ一国の女王が歩けば良くないことを考える輩がいないとは考えられなかった…マリアニールはイリアがそんな危険をおかしてまで自分の所へ来た理由が分からなかった……。
「マリア……必ず帰ってくるのですよ…母の元に❗あなたは何があっても我が子…ずっと待っています…」
マリアニールはふと自分でも気付かないうちに涙が流れた。嫌われていなかった❗愛されていた❗帰る場所は父と母が用意してくれている…それだけで羽根が生えたように、体が軽くなった気がした…
「これを………」
イリアは自分が身に付けていたピアスをマリアニールに渡した。代々この国の王妃がするものだった…。
「これは…王妃の証?いけません❗お母様❗」
マリアニールも知っていた…だがイリアは有無を言わさずに、マリアニールに無理矢理ピアスをつけた…。
「分かっています。だから必ず返しに来なさい❗レイスも気を付けて…マリアニールを頼みます。」
母はそういうと二人の姿が見えなくなるまで見送った。
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