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待ちに待ったこの日。
「わぁー! ありがとうございます!!」
意図的に訪れた朝の職員室で、浜名は1年で最も清々しい朝を迎えていた。
既に両手には、中学生には手出しのしにくい菓子店の紙袋が握られている。
「浜名、放課後取りに来てくれないか。冷蔵モノだから」
「まさかっ! ケーキセットですか!?」
補足しておくと、彼女がここで意味する“ケーキセット”とは、1個400円程度のケーキがいくつか入った箱を指す。
「御名答。去年おまえが喜んでた『ピアニシモ』の、な」
ちなみに、『ピアニシモ』とは巷で人気の洋菓子店のことである。
その店名を聞いて、浜名はいっそう満面に喜びを称える。
「ピアニシモ! あそこのケーキとか、先生太っ腹! 感無量です!!」
浜名のヨイショ効果か、寂しい上にお返しする人の少ない独身男性教師陣は、素晴らしい贈り物をくれる。
それらのお陰で、浜名のテンションは、朝っぱらから“うなぎ登り”というわけだ。
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