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“ホワイトデー”
それは、彼女にとっては自身の誕生日よりも待ち遠しい日だ。
「今きっと、あんたが世界一幸せそうな生物だと思うよ」
河田の目の前には、早速お返しの品を開けながら、ニヤニヤが止まらない浜名の姿。
「誉めてる? …はい、これはマカロン」
「一応。…おっ、マンゴーだ」
会話の合間にそれらのお菓子のコメントを挟みながら、2人は朝から持参した紅茶をすすっていた。
「優月~! 私にも分けてー!!」
「浜名、ウチにも分けてー」
それに便乗するように、浜名の友人たちがその恩恵に与ったりもする。
「おはよー! いいよ! …ただし!」
「“誕生日には手作りお菓子”、でしょ?」
「…そういうとこはしっかりしてんだから」
浜名のお菓子を分かち合うには、必ず交換条件が必要になる。
が、“ちゃっかり者”であるが、最早その性格がバレてしまっているクラスにおいて、そこは問題ないようだった。
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