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「昼休み、ショートケーキ1ホール開けちゃうから、良かったら食べてね」
学校にそんなものを持ち込むこと自体が異常なのだが、河田がこれを聞いたのは2度目。
「……先生から?」
マフィン1つへのお返しの比重は、道理を外れまくっている。
しかしそれも、浜名にしてみれば常識だ。
「モチ! 皆もあげればいいのに」
浜名の最もな言葉に、河田が言う。
「皆があげちゃったら、有り難みが減っちゃって、お返しもショボくなるって」
「……確かに」
妙に説得力のある話に、浜名のみならず皆が納得した。
「まぁ、皆はどっちにしろ、それどころじゃないもんねぇ」
続けて飛び出す茶化すような物言いに、浜名以外の女子は少しだけ頬を赤らめた。
「あー…純バレンタインか」
浜名は、のんきに相槌をうつ。
大半の女の子がそわそわする日は…喩え事の始まりがチョコレート会社の戦略だったとしても…大事なのだ。
「優月と紀枝は、そのっ気が全くないよね」
誰かの言葉に、2人は顔を見合わせる。
「だって、ねぇ…紀枝さんや?」
「そうねぇ優月さん…興味湧かないし?」
皆の呆れたオーラを感じながら、2人はマカロンを口にした。
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