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浜名にとって、この日1日の時間はいつもより格段に早く感じられる。
退屈な授業も、昼休みと放課後のケーキを思えばにやけずにはいられなかったほどだ。
そして、今日の浜名の食欲(スイーツ限定で)は、テレビ番組に出る有名人のそれに勝るとも劣らないものだった。
昼休み。
「……信じらんない!!」
共通項の多い河田をも唸らせるそれは、
「5号のケーキ、半分も食べるなんて!」
「しかも、朝にマカロン5個は食べたよね」
皆の記憶にしっかりと刻まれ、
「だって! 私は今日の為に生きてきたんだから!!」
そう言って、留まるところを知らなかった。
────放課後。
帰宅部の浜名は、
「あ、職員室で貰って帰んなきゃ」
しっかり、というよりはちゃっかりキチンと今朝の先生の言葉を憶えていた。
が、それも終には、
「優月、まだ食べるの!?」
鬼気迫る河田に、
「……ぅ………明日にしときます」
こう言わされてしまう。
「糖尿病になるまえに、ほどほどを知りなよ? 来年のためにも、さ」
宥めるような諭し方に、浜名はコクンと頷いた。
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