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「古庄先生! 毎度ながら義理ッス!」
曲がりなりにも、彼女…名は浜名優月(ハマナユヅキ)というが…が、約1年に渡って教えを請うた教師に『恩義』を感じることはない。
「贅沢言わないので、是非ともマカロンをよろしくお願いします☆」
この1カ月後、ホワイトデーを見越しての『義理マフィン』なのである。
浜名優月は、一言で言い表すならば、
“損得を見定める可愛げのない女子中学生”
なのだ。
こんな彼女だが、色恋沙汰に関しては、
“彼氏いない歴=実年齢”
……言うまでもなかったか。
ともかく、彼女が今日にかける熱意というものは、ただならぬものだった。
冬休みから“試作品”を作り始め、今日に至るまで作ったマフィンの数は3桁を下らない。
ラッピング技術は、小学生の頃から続く慣行の賜物で、リボンの結び目の大きさに至るまで、どれを取っても寸分の狂いもない。
そういう点を考慮するならば、彼女はまた“努力家”でもある。
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