第一之噺 突然

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「―――白龍聖術・山来神剣!」 「ッ!?」 恐ろしい形相の何かが、剣を持ち 青年を狙い、振り下ろした。 その間に、狼牙を守るかのように 巫女服を着た兄弟、そして あの中年男が、青年と狼牙との 間に立つ。 「っ・・・毘沙門天・・・!  上杉殿、貴方の仕業か!!」 青年が叫ぶと、白衣の僧侶が 答える。 「えぇ、いかにも。  ・・・貴方とは違って、『本物』  の・・・ね」 「・・・やはり、現魔武将には  敵いませんか・・・」 ―――青年が「現魔武将」と 言った時、狼牙の震えが治まり 顔を、上げた。 「・・・さっきから、何なんですか・・・分からない単語ばかり  出てきて・・・それに、  何故、私は狙われなくては  ならないんですか・・・!!」 知らない人に、突然狙われ 知らない人に、突然守られ 何の繋がりがあって 何の事情があって 私は、狙われるのか――― 「・・・その問いに答えよう」 口を開いたのは、中年男。 「我らは戦国の世を駆け抜けた、  武将らの生まれ変わり。  転生した姿じゃ。  転生したのは我らのみではなく  様々な奴らだ。」 そう言い終えると、各々が 口を開く・・・。 「・・・私は真田幸村。  現世では真沢(まざわ)幸村と  名乗っています」 「俺は真田信幸。・・・幸村の兄」 「私は上杉謙信・・・現世では  白浄院(はくじょういん)景虎、  と名乗っています」 「・・・真田、兄弟に・・・  上杉、謙信・・・!?」 皆、名だたる武将達・・・狼牙は ただ呆然と聞いているしか できない。 そんな中、中年男が また口を開き――― 「・・・よくよく和が名を聞き  入れるが良い。儂の現世での  名は、織部(おりべ)三郎。  かつての名は―――織田信長」
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