第一之噺 突然

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―――一方、かつて土佐と 呼ばれたその場所で――― 「・・・父上、桔梗が咲きました」 「何色だ。黒か?」 「いえ、水色です。」 「・・・ついにあいつが目覚めたと  いうことか」 「そのようです。  ・・・泰親様が伝書蝙蝠  (へんぷく)を飛ばして  きましたから」 「書かれていた、と。  ・・・では信親。信長殿らは  こちらに気付いているか?」 「いえ、気付いていないよう  です。…我らは蝙蝠ですから」 海岸にて、話し合う親子。 その周りには、飛翔する沢山の 蝙蝠・・・・・・。 その視線は、紀伊半島を越し 遥か彼方、上田市に 向けられていた。
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