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―――一方、かつて土佐と
呼ばれたその場所で―――
「・・・父上、桔梗が咲きました」
「何色だ。黒か?」
「いえ、水色です。」
「・・・ついにあいつが目覚めたと
いうことか」
「そのようです。
・・・泰親様が伝書蝙蝠
(へんぷく)を飛ばして
きましたから」
「書かれていた、と。
・・・では信親。信長殿らは
こちらに気付いているか?」
「いえ、気付いていないよう
です。…我らは蝙蝠ですから」
海岸にて、話し合う親子。
その周りには、飛翔する沢山の
蝙蝠・・・・・・。
その視線は、紀伊半島を越し
遥か彼方、上田市に
向けられていた。
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