第一章

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「東海林くん、前文を読んでください」 先生に六法を読むように言われたから、桜井から目を離して、六法を読んだ。 六法を音読すると法学部だと言う実感が湧いてくる。 ダラダラ学生の俺は授業が終わるとそそくさと帰るが、今日は学校のバルコニーでのんびりしていた。 学校のどこにいても俺の噂話で持ちきりだった。 このまま順調に広まったら、俺の名前が桜井の記憶に残る気がして、噂して欲しくなった。 30度の気温の中、ホットココアを啜った。 暑い中ホットココアを飲むなんて普通しないけど、動揺しすぎてミスって買ってしまった。 ホットココアなのをバレないように平然を装う。 「なーに、暑い中ホットココア飲んでるの?」 ホットココアなのを指摘された俺は、指摘してきた奴の面を拝むために顔あげた。 「…………っ!」 奴の顔を見た俺は言葉を失った。
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